テーマ 食物と栄養 食品添加物
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どんな分野?
近年、消費者の食の安全性への関心が高くなり、食品に使用される添加物の種類や量など、食を扱う業者からは多彩な情報が提示されている。
食品添加物とは、食べ物の味や風味を追加する甘味料・香料、保存しやすくする酸化防止剤・抗菌剤、見栄えをよくする発色剤・着色料などの目的で添加される化学物質。加工食品に製造段階で加えられる物質も含まれる。天然物・人工(合成)物という区分はあるが、安全面では差異がない。たとえ天然でも新しい物質を使用する場合には個別に安全の確認が必要となる。
食べ物の味や品質を安定させる食品添加物は、現代の食生活と切っても切れないものであり、必要に応じて上手に利用することが大事だといえる。
活躍の舞台
食品添加物を開発または利用する専門職をめざすには、食物および化学物質についての専門知識が必要になる。
農学系統の「農芸化学」の分野には、食物を含めた農業生産物を「化学」の視点で研究するジャンルがある。「化学」の基礎理論を把握し、物質の化学的組成を分析するための専門技術を修得したうえで、食物に含まれる成分と栄養、味を決定する物質を分析・検証する。また、食物の腐敗や変質のメカニズムを理解し、食品添加物の機能と使い方を学ぶ、というのが一般的なカリキュラムだ。
また「栄養学」「食物学」などにも同様の研究テーマがあるが、主に消費者、あるいは調理をする人の立場から、食品添加物の効果と安全性を検証するというアプローチとなる。
学問へのアプローチ
食品添加物には、同じ使用目的であっても、効果の強さ、使い方の異なる多種多様な添加物があり、食品の種類に応じて使い分けられている。もちろん、いずれも専門機関による試験を受けて効能と安全性が確認された物質であり、使用量や表示にも厳格な基準が設けられている。
近年は急速冷凍、フリーズドライ、レトルトなど食品保存や、殺菌・滅菌技術が発達したことにより、食品添加物の使用は全体としてかなり抑えられるようになった。
日本の消費者は、食の安全に常に高い関心をもっており、食品添加物に利用について幅広い専門知識をもつ人材への期待は大きい。たとえば食品開発の仕事、あるいは食品加工や保存・管理の現場で重要な役割を果たせるだろう。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
農芸化学
化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する
薬学
病気の治療、健康管理、衛生環境の視点から、医薬品をはじめとする「薬(くすり)」について、総合的に研究する学問分野。家庭用の洗剤や殺虫剤といった生活用薬剤や化学物質も対象