テーマ 食物と栄養 食の安全
その他のキーワード
どんな分野?
近年「食の安全」の問題に人々の関心が集まり、食品業者のモラルの徹底や行政による監視システムの整備が進められている。生産者や流通、小売業などの企業による徹底した情報開示など、信頼を取り戻すための地道な努力が始まっている。もちろん、私たち消費者も食品の栄養や衛生についての正しい知識を身につけることが重要だ。
飽食の時代といわれる現在、おいしさや見た目などの付加価値に関心を持つ人が増えているが、消費者の側も低価格、高付加価値、ブランドばかりを追い求める姿勢を見直す時期だといえる。「最高級の食べ物を低価格で」という難しい要求から「安心できる食べ物を適正な価格で」へと、消費者の意識を変えていくことも大切だろう。
活躍の舞台
食の安全を考える際には、食品の栄養や衛生といった「品質」の側面と、供給する生産者・流通業者、それを管理する行政などの「システム」の側面がある。
品質の面からは「栄養学」「食品学」「衛生学」の手法によるアプローチが有効だ。たとえば食品のおいしさと栄養成分の研究、食品の生産・加工・調理における衛生管理、さらに学校や職場、病院など場面に応じた献立といった研究分野がある。食品アレルギーに苦しむ子どもの栄養管理、アレルギー予防や症状への対策なども大切なテーマとなる。
システムの側面の研究には、「経営学」「食品経済学」などの学問手法を用いる。食糧の輸入経路や流通ルート、流通過程での衛生管理といったテーマを研究する。
学問へのアプローチ
この分野に関連する資格として、「食品衛生管理者」がある。食肉、乳製品の製造工場などで働く専門職(任用資格)で、調理設備、冷蔵冷凍庫、食物保管所、調理器具などの衛生管理を担当する。また、自治体などの行政官として食品製造・加工場や飲食業者などに出向き、衛生状態の監視と指導を行う「食品衛生監視員」という職種もある。
加工食品は工場だけでなく、流通段階あるいは店舗で商品化(調理、切断、パック詰め)されることも多く、工場や流通・小売の現場でも食品の衛生管理のスペシャリストを採用する企業が増えている。
このように食品衛生と栄養に関する専門知識・技術は、「食の安全」を守るさまざまな局面で生かすことができる。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
農学
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
農業経済学
農作物の生産、流通、消費の過程を主に学習し、食糧の安定供給と安全性の確保のための方策を研究する分野。世界の食糧流通を検証し、食糧危機の解決や途上国の開発援助にも取り組む
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する