テーマ 食物と栄養 メタボリックシンドローム
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どんな分野?
メタボリックとは、食事や運動によって体内の物質が入れ替わる「代謝」という意味。メタボリックシンドロームは、偏った食生活や運動不足によって身体の代謝活動がうまくいかなくなり、血糖値や血圧が高く内臓に脂肪がたまった病的な状態で、糖尿病や脳卒中、心臓病など、さまざまな生活習慣病の原因となると言われている。
自覚症状はほとんどないが、早めに対策することで改善するため、日本でも2008年4月から、40歳以上の人を対象にメタボリックシンドロームを発見するための特定健康診断が義務づけられている。生活習慣病の広がりは仕事の効率低下や医療費の増加など、社会への悪影響も懸念されるため、予防への総合的な取り組みが急がれている。
活躍の舞台
メタボリックシンドロームについて専門的に研究するには、「医学」の分野に進む必要がある。
大学では、人間の身体の構造とはたらき、特に消化器や循環器と代謝のしくみを学んだうえで、メタボリックシンドロームを引き起こすメカニズムを理解し、症状の診断法や治療のための医学技術を学ぶ。医学の1ジャンルとして、メタボリックシンドロームの効果的な予防法を研究するため、患者数や分布のデータを統計分析したり、要因ごとのリスク分析やを行う「疫学」という学問もある。
また、患者やその予備軍に対する健康管理法を研究したり、生活改善を指導する技術を修得することをめざすなら、「栄養学」あるいは「看護学」の学科に進学するとよい。
学問へのアプローチ
メタボリックシンドロームは、本人にも自覚しづらく、このことが症状をさらに悪化させる要因にもなっている。早期に発見して的確なアドバイスを行えるシステムづくりが急務であり、医師や看護師、保健師などの医療専門家への期待は今後もますます高まることは疑いない。
メタボ予防対策には、食生活の改善や運動に加え、ストレスの緩和や適度な休養など全般的な日常生活を改善することが欠かせない。
生活習慣病の増加は、高齢者の増加とともに国民医療費増大の一因ともなっている。一人ひとりが「働き過ぎ」と言われる生活実態を見直すことに加え、地域社会や企業を含めて現代社会を変えていく取り組みが必要な時期になっているといえる。