テーマ 食物と栄養 食品流通業
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どんな分野?
食品流通の世界では小売業、生産者が協力して徹底したシステム管理と効率化が進められてきた。その結果、各地で収穫された新鮮な農産物や水産物が、わずか1~2日で全国どこでも入手できるようになった。
一方、多彩なニーズに合わせた商品も開発し、消費者に提供している。「しゃぶしゃぶ用の肉」「焼き魚用の魚」のように食品を用途別にパック化した商品をはじめ、料理に合わせたセット食材、レトルト、冷凍、惣菜といった調理済み食品などが販売されている。
これからの食品流通は、こうした流通の効率化と低コスト化、消費者ニーズの多様化への対応を中核に、安価な輸入食糧と国産品との共存、日本の農業の保護育成といった課題を含めて総合的に考えていく必要がある。
活躍の舞台
食品流通など広く流通業について研究するための基礎となるのが「商学」あるいは「流通経済学」の分野だ。
経済社会の中で「流通」は、単に物資を循環させる=生産したものを着実に消費者に届けるだけでなく、買う側のニーズ(需要)を把握・管理して、作る側(供給)とのバランスをとる役割を担っている。こうした流通システムの基本的なしくみと各業者の働きを理解したうえで、流通の現状と問題点を探っていく。
また、農学系統には食糧問題や開発経済、食品流通などの問題を専門に研究する「農業経済学」という学問もある。食品市場の複雑化、消費ニーズの多様化という現代的な問題に対応して、農業の国際化という視点から食品流通の問題を総合的に学ぶことができる。
学問へのアプローチ
日本の食卓を支える食品流通業は、生産者、消費者をつなぐ業者として、ニーズに合った商品を速やかに提供する責務がある。単に輸送としての「物流」を担うのではなく、企画開発・マーケティングといった積極的な商品戦略を行う部門が重要になっている。
また、食品流通のさまざまな問題をきっかけに、農産物の流通経路を明らかにする「トレーサビリティ」システムの整備がはじまった。
この分野を専攻した人材は、農業(漁業)協同組合など生産者の団体、食品製造業や食品加工業、あるいは卸売業、小売業などの流通業界、さらにレストラン・ファストフードなどの外食産業まで、食品を扱う幅広い業種で活躍の道が広がっている。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
経済学
モノやサービスを交換するしくみ=「生産→流通→消費」の観点から、世の中の人々のより良い暮らしを探求する分野。数理的な要素が強いこと、国際的な視点が重要なことが二大特徴
農業経済学
農作物の生産、流通、消費の過程を主に学習し、食糧の安定供給と安全性の確保のための方策を研究する分野。世界の食糧流通を検証し、食糧危機の解決や途上国の開発援助にも取り組む
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴