テーマ 食物と栄養 伝統食
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どんな分野?
日本人は伝統的に米食中心の食生活で、みそ汁や漬け物、佃煮などのご飯をおいしく食べるための料理が工夫された。特徴的なのが、漬け物を中心とした発酵食品。また味噌、醤油などの調味料も発達した。特に江戸では、そばやうどんなどの麺類、天ぷらや寿司など、現在の「和食」のルーツとなる料理が登場して、庶民の食生活も次第には豊かになっていった。
こうした食の歴史を踏まえ、外食に偏りがちな日本人の食生活を反省し、日本の風土に根ざした、伝統的な食べ物や食習慣を取り戻そうと考える人が増えている。伝統食には「脂肪やカロリーが控えめ」「野菜中心」など栄養や健康の面で優位性があるが、塩分が多いという弱点もあり、最大限にメリットが生かせる方法を追究する必要がある。
活躍の舞台
伝統食について大学で学んだ人の進路としては、まず和食(日本食)をつくる調理師の仕事が挙げられる。日本料理店や割烹のほか、旅館やホテル、地域の観光・レジャー施設などが主な職場だ。大学で所定の課程を修了したうえで、飲食業界に就職し、修行を続けながら調理師の資格を取得するというのが一般的なコースとなる。
和食関連の食品メーカーや食品を扱う商社に就職するという選択肢も考えられる。工場での品質管理、衛生管理といった生産現場の業務のほか、現代の日本人のニーズにあった新商品を企画・プロデュースする仕事もある。これらの職種では、栄養士、管理栄養士の資格を取得することで、活躍できる仕事の幅も広がっていく。
学問へのアプローチ
この分野に関連する学問としては、家政系統「食物学」が代表格。魚介類、海藻類、穀類、野菜など日本独特の食材を取り上げ、その伝統的な調理法を研究する。また、伝統食の文化を現在の食生活にも生かせる献立を考案する。さらに、食を文化の面から分析し、食生活の歴史的な展開、食生活と文化との関係を探る。
医療・保健系統「栄養学」では、栄養や健康の面から食にアプローチする。伝統食の栄養価を分析し、身体の健康に役立つ食生活を提案する。そのほか、農学系統「農芸化学」という選択肢も考えられる。食物を化学的に分析し、適切な保存法や加工法を研究する学問で、日本の代表的な伝統食である発酵食品をはじめ、加工食品の生産技術について学べる。