テーマ 食物と栄養 オーガニック
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どんな分野?
オーガニック(Organic)とは「有機」の意味。干鰯(ほしか)や牛糞といった動物性から、油かす、ぬかなどの植物性まで、生物由来の伝統的な有機肥料を用いたオーガニックな農業生産物が人気を集めている。日本の農業は、化学肥料や農薬によって生産性が飛躍的に高まったといわれる。その一方で、作物の味や風味が劣る、色や形が画一化する、自然環境への負荷が大きいといった課題も指摘されている。
有機農業は、生産には大きなコストと手間がかかり収穫量も限定されるが、安心・安全の面で信頼性が高い。オーガニック専門のスーパーや通信販売なども登場し、「多少高いお金を出しても安全な食べ物がほしい」という主婦やファミリー層からの支持を受けている。
活躍の舞台
この分野を専攻した学生は、農業関連のほか、飲食業をはじめとする食品業界で活躍のチャンスがある。有機栽培をはじめ農作物の生産技術を学んだ人は、都道府県の農業試験場の研究職、あるいは農業普及指導センターに勤務する指導員という職種がある。また、事業として農業を手がける農業法人も選択肢の1つ。付加価値の高いオーガニック作物を開発・生産することが求められる。
食品業界では、オーガニック食材を利用するレストランの仕事や、食品メーカーの商品開発の仕事が挙げられる。最近は、その土地ごとの風土や環境に合った特産品の開発、古くから栽培されてきた伝統野菜の研究も盛んで、オーガニック作物を利用した地域振興、町づくりに携わる公務員の道も考えられる。
学問へのアプローチ
この分野を学びたい人の進路は、農学系統「農学」が代表格。農業の技術を幅広く研究する学問分野で、野菜や果樹など植物の特性を理解したうえで、育種、栽培、収穫のプロセスを中心に、オーガニック農業の生産技術を実践的に学ぶ。「農芸化学」は、化学的な視点から農業技術にアプローチする学問。さまざまな有機肥料の生産法やオーガニック農業での利用法を研究する。また、有機農産物の保存や加工技術も学べる。
オーガニックな食品を研究するなら「食物学」または「栄養学」という選択肢もある。「食物学」では、食材の味や風味を生かした調理法や加工技術を研究する。「栄養学」では、食品の品質や栄養価と健康との関係を研究する。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
農学
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
農芸化学
化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する