テーマ 食物と栄養 食品衛生
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どんな分野?
食品衛生とは、食品生産の現場において細菌やウイルスなどの微生物、毒物といった人体に悪影響を及ぼす原因を取り除き、食べ物を衛生的な状態で提供できる環境を保つこと。衛生状態が悪い環境で作られた食べ物は、食中毒の原因になり、健康を害することにつながる。またメーカーにとっては、品質を保持できる期間が短いため商品価値が低くなる。
そこで、飲食店や喫茶店などの外食産業、食料品店やスーパーなどの小売店、さらに食品メーカーの食品産業などの食品業界では、使用する食材や調味料、添加物をはじめ、食器や容器、厨房や保管場所の環境まで、製造・加工・流通のあらゆる過程で、消費者の健康を守るための努力が続けられている。
活躍の舞台
この分野の代表的な就職先は、食品メーカーや外食産業など食品を扱う業種。たとえば、食品メーカーの生産工場で加工食品を管理・製造する、レストランの厨房で調理や配膳を行うといった仕事だ。外食産業で料理人になるには、食品衛生の知識に加え、食材に関する幅広い知識と調理法を修得することが大切だ。栄養士の資格取得も強みとなる。
この分野の専門職に「食品衛生管理者」がある。乳製品、ハム・ソーセージなど特定の食品の製造・加工を行う施設において衛生管理を行う職種で、栄養学・食物学系の大学を修了した後に国家資格(任用)を取得する必要がある。保健所に勤務してメーカーや工場の衛生状態を監督する「食品衛生監視員」という仕事もある。
学問へのアプローチ
家政系統「食物学」、または医療・保健系統「栄養学」が代表的な学問。「食物学」は、食材に応じた調理法や加工・保存の技術を実践的に学ぶ学問。「栄養学」は食品の栄養価を科学的に分析し、食事と健康の関係を研究する学問だ。いずれ場合にも、食材となる農作物や水産物についての生物学・化学を土台に、食中毒を引き起こす微生物や病原菌に関する医学的な知識、感染症を予防するための保健学的な知識など、幅広い分野の専門知識を修得できる。
化学的な視点で農産物の品質を研究する「農芸化学」でも食品の保存や加工における衛生管理法を学べる。さらに「畜産学」では、食肉や乳製品など畜産物の生産・加工の視点から、食品衛生にアプローチする。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
獣医学・畜産学
家畜などの動物の飼育と健康管理、資源としての利用を研究。動物の病気治療と予防法を研究する「獣医学」と動物を資源として飼育・繁殖・利用を研究する「畜産学」は不即不離の学問
農芸化学
化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する