テーマ 食物と栄養 フードバンク
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どんな分野?
フードバンクとは、流通の段階で消費者に売買できない食品を生産者や販売者から寄贈してもらい、食品を必要としている福祉施設や病院などに提供したり、金銭的にゆとりのない生活困窮者に無償で配布したりするしくみです。提供される食品の種類はさまざまで、包装の破損や印字ミス、賞味期限が近いなどの理由で廃棄対象になったとはいえ、食べ物の味や品質には何も問題がなく、安全に食べられるものばかりです。
主にフードバンクは、社会事業を担うNPO団体や企業による運営で、幅広い流通業者や農業生産者と連携することで、さらに大きな運動に広がりつつあります。食品ロスをなくし資源保護につながることに加え、また弱者支援や孤立家庭の救済など、福祉の視点からも注目されています。
活躍の舞台
幅広い意味で食品に関わる仕事がおすすめの進路です。たとえば、フードバンクを運営するNPO団体や企業をはじめ、生産者と販売者をつなぐ食品卸業、スーパーや百貨店などの小売業が挙げられます。加工食品、冷凍食品などを生産する食品メーカーで活躍する道もあります。農業や漁業など、食品生産の現場である第一次産業、さらに料理のプロである調理師、メニューづくりや健康管理を担う栄養士など、食の専門職も選択肢となります。
食品に興味がある人は、将来の進路を問わず、調理や保存技術をはじめ工場での加工工程や衛生管理などの専門知識を身に付けることをおすすめします。生産・流通・販売のどの業種でも、活躍の舞台が広がることになります。
学問へのアプローチ
最も適しているのは「食物学」です。食物の調理法、おいしさを追究するとともに、日本人の食生活、食物の歴史など文化的な側面にも注目する学問です。食品流通、食の安全性といった視点から、フードバンクの現状と今後の課題を探ります。
現代社会で生じるさまざまな現象について原因を分析し、課題の解決策を探る「社会学」も関連の深い学問です。フードバンクが登場する背景を社会福祉の視点で捉え、格差社会を正して貧困の解決をめざすフードバンクのしくみを研究します。
ほかに、企業経営や生産過程における効率化と品質向上のための技術を研究する「経営工学」もあります。食品流通の新しい取り組みであるフードバンクの事業を、円滑に運営するための方法を研究します。