テーマ こども 児童福祉
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どんな分野?
虐待、育児放棄(ネグレクト)によりこどもが被害者になる事件は後を絶たない。国は児童虐待防止法を改正し、児童相談所の権限を大幅に強化。こうした虐待による犠牲者を出さないように、現場での取り組みに注目が集まっている。
地域や家庭における教育力・子育て力の低下が叫ばれて久しいが、最近ではあらためて“地域力”が見直されつつあり、地域でこどもを見守ろうという動きも盛んになってきた。各地で子育てNPOが設立され、こどもや子育て家庭を支えようという流れが生まれている。また幼稚園・保育所・各種児童福祉施設などでも幼児を抱えて家にこもりやすい親に対して集いの場を提供するなど、社会全体が子育て支援に積極的になってきている。
活躍の舞台
児童福祉は社会の変化に大きな影響を受けるこどもたちの健全な育成と、学童保育をはじめこどもを育てる環境や家庭の福祉を考える学問だ。「児童学」「社会福祉学」のテーマであり、「心理学」「教育学」「社会学」とも深く関わっている。
「児童福祉論」「障害児福祉論」など福祉の実践法のほか、「家族心理学」「子育て支援論」など地域で子育てを支援する方策を学ぶことで、社会福祉への幅広い視野と知識を身につける。児童福祉サービスの一般化と少子化への対応が求められており、こどもの置かれた状況を把握し、問題解決について多くの角度から研究することが必要となっている。卒業後の進路は、保育園や幼稚園、各種児童福祉施設などになる。
学問へのアプローチ
国は児童虐待の犠牲者をゼロにしようと児童福祉法を改正するなど力を注いでいるが、全国的に児童福祉施設はどの施設も満杯で職員も手一杯であるなど課題も多い。一度傷ついたこどもたちは大きなトラウマを抱えており心のケアも重要だが、そうしたスタッフもまだまだ足りない。また、少子化が問題になるなか、大人がこどもを産み育てたいと思えるような社会環境整備をすることも求められている。
こどもをめぐる課題には問題が山積しているが、国も積極的に関わっており社会全体も注目するようになっている。日本の将来を担うこどもたちの健やかな成長と自立を見守る児童福祉分野、またそれを担う人材への期待はいっそう高まっている。
このキーワードについて学べる学問分野
哲学・心理学
人類の根源的な疑問=「人間とは何物か」「何が生きる意味や価値か」という“こころの問題”に思索や論理を通じて迫るのが哲学、科学的なしくみとして解決しようとするのが心理学
教育学
教育の本質を捉え、学校や職場、地域社会において人間の可能性を伸ばすシステムと技法を研究する学問分野。老若男女すべての「学ぶ人」に理想的な教育の環境を提供することが大目標
児童学
家庭における「育児」に着目し、子どもの成長過程、親子・きょうだいの関係などを総合的に研究する。子どもの個性や感性をどう育むか、安心できる子育て環境の整備などがテーマ
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード