テーマ こども 児童心理
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どんな分野?
現在の複雑な社会情勢やこどもをめぐる事件報道を受け、こども達の心のケアが真剣に検討されはじめている。また米国心理学の研究家により、「スポーツやボランティアを通じた親の地域貢献」が、ネットや携帯・メール等社会の速い動きについていけない児童にとって良い見本になるとの研究結果も発表されている。わが国では児童をめぐる「いじめ」が社会問題化・常態化しているが、こうした状況が児童の心理に及ぼす影響ははかりしれない。いじめの舞台になっている学校環境を変えるだけでなく、学校と保護者、地域が一体となっての取り組みの必要性が叫ばれており、積極的にこども達の周辺に働きかけていこうという動きも始まっているようだ。
活躍の舞台
こどもの心理が科学的に研究され始めたのは、わずか百余年ほど前のことである。この間「児童心理学」「発達心理学」「児童発達行動学」は目覚しい発展を遂げた。また児童心理司、児童福祉司、児童相談員といったこどもの心をサポートする資格者も増え、こどもを心身の両面から学問的に支える仕組みが徐々に整いつつある。家庭・学校・地域それぞれでの体験を通じて、児童の言語能力や数理の認識、音楽的な表現や造形的な表現が発達していくが、その発達の過程が児童の心理とどのように関わっているのか、という研究も進んでいる。また児童が社会的認識を獲得する過程が、情緒的・心理的にどのような作用によっているのかを研究する学問も盛んになっている。
学問へのアプローチ
発達心理から子供たちの心身の健康と発達を見守る動きが生まれている。また検査で異常が見られない児童にも、身体症状と心理の両面からケアを行うだけでなく、児童の身辺状態がこどもの心理状態の表れであるという観点から、心理面のサポートのみならず、身辺や環境まで踏み込んだ総合的な対応へとシフトしている。またこどもの心理や発達の悩みを抱える親へのサポートも一般的になってきており、児童と保護者、両面からの対応を充実させることでよりよい体制が整いはじめている。社会情勢が急激に変化し、こどもをめぐる環境も大きく変わろうとしている状況のなかで、児童の心身両面をケアする新たな試みが次々と生まれている。
このキーワードについて学べる学問分野
哲学・心理学
人類の根源的な疑問=「人間とは何物か」「何が生きる意味や価値か」という“こころの問題”に思索や論理を通じて迫るのが哲学、科学的なしくみとして解決しようとするのが心理学
教育学
教育の本質を捉え、学校や職場、地域社会において人間の可能性を伸ばすシステムと技法を研究する学問分野。老若男女すべての「学ぶ人」に理想的な教育の環境を提供することが大目標
人間科学
人間の心と身体のメカニズムをトータルに捉え、多面的な側面や要素をを備えた人間そのものに深く切り込む学問。人間だけが獲得した、動物とは一線を画した能力や要素の秘密を探る
児童学
家庭における「育児」に着目し、子どもの成長過程、親子・きょうだいの関係などを総合的に研究する。子どもの個性や感性をどう育むか、安心できる子育て環境の整備などがテーマ