どんな分野？

「情操（じょうそう）」とは、人間の情緒の中でも文化的・精神的・社会的価値を身につけた高度で豊かな感情のこと。家族や他人への尊敬や愛情、感謝といった道徳的情操のほか、美術や音楽、文学作品を鑑賞・創作することで美しいものに親しむ芸術的情操、信仰に基づく宗教的情操、科学的研究などを行う知的情操があります。子どもが成長する過程で、良し悪しの判断や美しいものを感じる心、動物などを可愛がる気持ちを育てることは、勉強で知識を得るのと同様に重要です。
その感情は保護者による教育に加え、道徳・図工・音楽・保健体育といった学校の教科を通して育んでいきます。このほか、体験学習や自然観察、動物の飼育、スポーツといった活動の中で情操を養う教育方法も実践されています。

活躍の舞台

情操教育を学んだ人の職業は、小学校と中学校の教員が代表的。特に図工・美術・音楽・保健体育は、学校において情操教育を行う教科です。これと並んで幼稚園と保育園、そして幼保一元化施設や児童館の職員も代表な職業といえるでしょう。
知育を目的にした幼児教室にも注目です。このような教室では、音楽やスポーツのほか、コミュニケーション能力や道徳心を育む教育を行っています。このほか、ピアノやギターといった音楽教室、絵画教室、自然体験教室、乗馬クラブを含むスポーツ教室の指導員も挙げられます。
これら職業では、家政・教育系統の大学で児童学や教育学などを修得したうえで、各分野の専門知識や技能も身につける必要があります。

学問へのアプローチ

情操教育を学べる学問としては、家政系統「児童学」と教育系統「教育学」が挙げられます。「児童学」は育児について科学的に研究する学問で、教育・心理・保健・表現などさまざまな面からアプローチしながら子どもの感情の発達を検証し、豊かな感情の伸ばし方を考えます。「教育学」は人間の成長を助ける教育方法を総合的に研究する学問で、多様な教育の実態を把握したうえで、理想的な教育のあり方を探ります。
これに関連し、学校や幼稚園の現場で活躍する教員を養成する「教育養成」へ進む道もあります。芸術系統「音楽」や「美術」、教育系統「体育学」も情操を研究する分野として認識され、いずれも教員の養成が行われています。

このキーワードについて学べる学問分野

美術

絵画、版画、彫刻など、色とカタチによるオリジナリティのある造形によって「美」を表現する分野。いずれも具体化された作品により、人に感動を与えられるセンスや創作表現法を学ぶ

体育学

運動能力の増強やスポーツ競技の技術向上のために、「運動」を総合的に研究する分野。各種のスポーツで運動理論と実技力を培い、健康で頑健な身体づくりのノウハウや技法を探求する

音楽

楽器や人の声を用いて、形や色彩のない「音」による表現芸術。単独もしくは複数による演奏や歌唱の技法を研究し、自らの感性で心の奥深くに響く美しい音楽をつくることがテーマ

教育学

教育の本質を捉え、学校や職場、地域社会において人間の可能性を伸ばすシステムと技法を研究する学問分野。老若男女すべての「学ぶ人」に理想的な教育の環境を提供することが大目標

教員養成

教育への情熱や意欲をもとに、自らの教養・人格を向上させ、教える能力や対話のコミュニケーション能力などの専門スキルを研究・体得。教育のプロフェッショナルをめざす専門課程

児童学

家庭における「育児」に着目し、子どもの成長過程、親子・きょうだいの関係などを総合的に研究する。子どもの個性や感性をどう育むか、安心できる子育て環境の整備などがテーマ