テーマ コミュニケーションとメディア AI・ロボット
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どんな分野?
製造工場で用いる産業ロボットの技術で、日本は世界の最先端を走ってきた。近年ロボットを製造するメーカーは、家庭やオフィスなど社会の中で使える汎用のロボットに開発の軸を移しつつある。
ビルの警備や掃除ロボットはすでに実用化され、重量物の運搬、危険な場所での労働、高齢者や障がい者の介護といった「仕事」をするロボットは実験段階に入っている。また、留守番、話し相手やペット代わりになるロボットなど、AIを搭載して人間とのコミュニケーションが可能になるよう、ソフトウェア面の開発も進んでいる。21世紀社会に貢献する新たなロボットの登場により、マンガやアニメで描かれた人間の姿をしたロボットとの生活も、遠い未来の話ではなくなってきた。
活躍の舞台
ロボットはさまざまな工学の融合体であり多彩な学問からのアプローチが可能だが、ロボットの身体(外形)をつくる「機械工学」と、ロボットの頭脳や神経系をつくる「電気通信工学」の分野が土台となる。
「機械工学」では手や脚などのメカニズム、機械としてのロボットを制御するための技術、多くの部品を指定の形の中に組み込む実装技術などを学ぶ。「電気通信工学」では、ロボットを動かしている電気通信系統、それに情報処理や知能の技術を学ぶ。人間に親しみやすいロボットの形を考える「デザイン」も重要だ。最近は、これらを融合した「ロボット工学」を専攻とする学科もある。
さらに、人文科学系統にも、ロボットを通して人間のコミュニケーションを学ぶ研究領域がある。
学問へのアプローチ
高度な“頭脳”で環境を判断しながら行動するロボットは、人間の生活や社会を大きく変える可能性があり、20世紀社会に革命をもたらした自動車に匹敵する将来性を秘めている。特に、介護や医療福祉、災害救助などの分野では、人間に代わって作業するロボットの労働力に大きな期待が集まっている。一方、産業経済の面でも高度成長を牽引した自動車工業に代わる21世紀の主要な工業に成長すると期待されている。
しかし、私たちの日常生活に取り入れるには、身体の大きさや細かな動きなど、機械としての安全性と耐久性などクリアすべき課題が多い。そこで、知能の高度化などの技術面に加えて、人間がロボットと共に安心して暮らせる環境づくりを進めていくことも大切といえる。
このキーワードについて学べる学問分野
工学系学際
新しい工学の視点から、人類が抱える重要課題や将来に大きな発展が期待される先端技術に挑むフロンティア領域。「資源工学」「地球環境工学」「先端工学」はその代表的な学際ジャンル
電気通信工学
電気や磁気の性質を応用し、生活や社会を快適にする、電気のエネルギー利用技術や情報通信などのエレクトロニクス技術を生み出す学問分野。機械としての表現されることも重要課題
機械工学
ものづくりを軸としてきた工学の核となる<機械>を研究する分野。その原理と創意工夫を土台に新しい「機械」を設計・開発する。技術やパーツを組み立てる「機械システム」が中心に
人間科学
人間の心と身体のメカニズムをトータルに捉え、多面的な側面や要素をを備えた人間そのものに深く切り込む学問。人間だけが獲得した、動物とは一線を画した能力や要素の秘密を探る