系統別学問内容リサーチ
人文科学系統
偉大な人間の文化遺産を継承し、人間そのものの探究に向かう人文科学は、人間が蓄積してきた知恵(言葉や文字、地理や歴史、思想、心理、宗教、風俗など)の総体であるう《文化》をあらゆる角度から研究して、未来に向かって新しい文化を生み出すことを目指します。
この系統の学問分野
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文学・語学の分野
“言語動物”である人間が、文字と言葉によって芸術や作品を生み生活を愉しみながら、考える力・洞察力・観賞力・コミュニケーション力を培養する古くて新しい「教養」ジャンル。
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歴史学・地理学の分野
人間の文化や社会を「時間」で切り取る歴史学、「空間」から捉える地理学。最近のブームの“文化学”との関連性のなかで考えると捉えやすい。が、地理学は理系色もあり、やや異質
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哲学・心理学
人類の根源的な疑問=「人間とは何物か」「何が生きる意味や価値か」という“こころの問題”に思索や論理を通じて迫るのが哲学、科学的なしくみとして解決しようとするのが心理学
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文化学の分野
世界の文化の多様性を土台に、古今東西の人や文化を総体的として比較。それぞれの文化特有の尺度や思想を発見・分析するジャンル。現地での「フィールドワーク」の研究手法がキモ
教育・研修のめざすもの
人類がつくった多彩な文化に触れ、人間を再び捉え直す
人文科学は、文字どおり「人間」と「文化」を研究する学問系統です。
人類の誕生は数百万年前、また人間としての文化的営みをはじめたのは1万年以上前のことといわれています。この長い歴史の中で人間は、言葉や文字、歴史、地理、思想、心理、宗教、風俗など幅広い領域にわたる文化を、世界の各地に築いてきました。
こうした足跡の大半は、形のある、無しに関わらず、人類の偉大な遺産として現代を生きる私たちに残されています。これらの多彩な文化に触れて、その価値や精神的機能を理解することが人文科学の第一の目的であり、そのためにあらゆる学問手法で研究します。
研究対象は私たち自身、つまり人間存在そのものから、その存在を支える人と人との関係性=「社会」にまで及びます。各分野はそれぞれ異なったアプローチ法をとりますが、「人間とは何か」という疑問への答えを探すこと、さらに「私たちはどうしたら豊かに幸せに暮らせるのか」を考えることが究極のテーマとなります。
将来の進路・職業
物事への鋭い洞察を通じ、自由な意見や企画の発信者に
人文科学のジャンルは、さまざまな学問が雑多に含まれていますが、いずれも人間や文化を研究の焦点に置いていますから、物事を多角的に分析するための深い洞察力、とりわけ人間そのものを考察する能力が養われます。そのことから、事柄や現象の当否等の観察力、それを文章や図解で伝える文章・図解力も磨かれます。さらに、人類が育んだ文化を把握し伝承する力や、世界の人々と交流するために語彙スキルや国際的視点も身につけることができます。
将来の進路としては、新聞・雑誌記事の執筆や書籍の編集企画等に携わる専門家であるジャーナリストや記者、編集者などがあります。また企画立案やプレゼンテーションの能力が役立つ企業の広報や宣伝の仕事も重要な職業ジャンルです。そのほか通訳・翻訳といった「言葉」の専門家、さらに、外国の人と自由に対話できる語学力を活かした職業、外交官や企業の駐在員など、さまざまな相手との交渉力を武器に、海外の仕事に就くことも有望な分野です。