将来を考え、進むべき道を選択するこの時期は親子のコミュニケーションがいつも以上に大切になります。そこで、「逆引き大学辞典」編集部が高校生とその保護者、大学受験を経験した先輩保護者を対象に実施したアンケート※を基に、両者のホンネを探てみました。子どもはどんなことを考え、保護者にどんな期待をしているのでしょうか。一方、保護者はどんな関わり方をしているのでしょうか。データを通じて、受験期を控えた親子のコミュニケーションのあり方について考えてみました。
※逆引き大学辞典編集部『大学進学に関する調査』(2012年2月実施)
◎学部は理工系で意見が一致していても、受験科目で意見が合わずぶつかった。「受験するのは私なのに」と思った。(群馬県・女子)
◎成績が伸びない時期も、自分では努力していた。そのことをわかってもらえなかった。(岐阜県・女子)
◎保育士資格が取れる大学に行きたかったが、実家を離れなければならず、口論になった。(高知県・女子)
親子とも大学進学の主な理由は「将来につなげるため」
大学進学の理由として親子とも将来の就職を意識した回答が多数を占めました。受験生では「将来の仕事につなげる」「将来やりたいことを見つける」に続いて「就職を有利にする」がランクイン。保護者も、将来の就職につながる専門知識を身につけ、経験の幅を広げてほしいという願いが垣間見られます。また、「友達や人脈を増やす」という項目では、親子の意識の差が大きく異なっています。
志望校決定の際に重視するポイントは、親子とも学問内容・難易度・自宅通学可がトップ3。受験生は続いてキャンパスの雰囲気や知名度が挙がりましたが、保護者は「就職状況」と「学費の安さ」が続きました。受験生は、設備やキャンパスの雰囲気に関心が高いですが、就職状況に関してはまだ親よりも関心が低いようです。
志望校決定に条件を設ける保護者は約98%
志望校を決める際に、ほとんどの保護者が条件を設けています。特に自宅通学可や「国公立大のみ」を挙げる保護者は多く、子どもの希望に沿いつつも進学費用は抑えたいのがホンネでしょう。学部を条件に挙げる保護者も約5割いますが、「父が少しでも就職に有利な経済学部や建築学部を勧めてきて、言い争いになった」(東京都・女子)など、この点でぶつかることも多いようです。「教員免許を取って教師になれと言われた」(群馬県・女子)というように、保護者の就職や資格志向の強さから子どもの希望が否定されることも。将来を見据えることは大切ですが、たとえ就職に有利な学部でも本人の意欲がないと不本意な4年間に。就職先や資格、知名度などから極端に進学先を制限してしまうのは考えものです。