受験料に入学金や授業料...お子さんの大学進学に伴う出費は決して少なくありません。
そんな保護者の経済負担を大きく軽減してくれる強い味方が奨学金や教育ローン。賢い資金計画を探っていきましょう。
奨学金
奨学金には返済が不要な「給付型」と返済義務のある「貸与型」があります。また貸与型は利子がつくものとつかないものに分かれます。最も一般的なのが日本学生支援機構の奨学金。貸与型で、無利子の「第一種奨学金」と低金利の利息付「第二種奨学金」があります。
入学後、毎年春に大学を通じて申し込む「在学採用」のほか、高校在学中に申し込める「予約採用」もあり、こちらは進学する前年に高校を通じて申し込みます。どちらも所得と学力による制限がありますが、採用枠が大きく比較的利用しやすいでしょう。
そのほか民間育英団体の奨学金や新聞奨学会、また地方自治体や大学で独自の奨学金制度を設けているところもあります。奨学金によっては他の奨学金との併用が可能なこともあるので、条件の合うものを探してみるといいでしょう。
※日本学生支援機構は、2020年度から給付型奨学金+授業料等の免除・減額の修学支援制度をスタートしました。
対象が「住民税非課税世帯、またはそれに準ずる世帯の生徒」など条件がありますが、関心がある方はウェブサイトで調べてみるとよいでしょう。
◇種類と条件
種類 | 利息 | 学力基準 | 家計基準の目安(4人世帯の場合) |
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第一種奨学金 | なし | 申し込み時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5 以上 | 家計年収(年額)が803万円以下 |
第二種奨学金 | 在学中は無利子、卒業後は年利3%を上限とする利息あり | ①高校での成績が平均水準以上、もしくは②特定の分野で特に優れた資質がある、もしくは③学修意欲があり確実に修了できる見込みがある | 家計年収(年額)が1,250万円以下 |
※学力基準と所得の目安は予約採用の場合。所得上限額は世帯の人数・事情により増減します。
◇貸与月額※
種類 | 区分 | 自宅 | 自宅外 |
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第一種奨学金 (どちらかの金額を選択) |
国公立大学 | 2万円/3万円/4万5000円 | 2万円/3万円/4万円/5万1000円 |
私立大学 | 2万円/3万円/4万円/5万4000円 | 2万円/3万円/4万円/5万円/6万4000円 | |
第二種奨学金 | 2万円から12万円までの1万円単位の金額の中から選択が可能 (私立大学の医・歯・薬・獣医課程は、12万円を選択した場合に限り、医・歯学課程4万円、薬・獣医課程2万円の増額が可能) |
※条件が合えば、貸与月額の初回振込時に上記の金額に加えて10 〜50 万円の増額貸与を受けられる制度もあります。
●民間育英団体の奨学金
民間の育英団体や企業、個人が実施する奨学金。
給付型も貸与型もあり、対象者もさまざまです。大学を通じて4~6月に募集する場合が多く、全体的に採用人数が少ないことも特徴です。
●地方自治体の奨学金
多くの場合、地域の出身者か、その自治体にある大学の学生が対象。貸与型が一般的で、各地方自治体や大学が窓口となって募集します。
●大学独自の奨学金
私立大学を中心に授業料の減額や免除など、独自の奨学金を設ける大学は多く、給付型も少なくありません。基本的には成績優秀者が対象になりますが、クラブ活動で実績のある者が対象になることも。大学のホームページなどで確認してみましょう。
教育ローン
授業料の額がベースになる奨学金と違い、教育ローンでは受験費用や入学金、新たに一人暮らしをするためのまとまった資金なども借りることができます。また成績とは関係なく利用できることも利点です。ただし奨学金は本人が大学卒業後に返済するのに対し、教育ローンは保護者が一括で借り入れて返済するケースが多く、在学中も返済期間に含まれるため、保護者に負担がかかります。
教育ローンには国が行うものと民間の金融機関が行うものがあり、公的機関のローンの方が低金利なことが多くお勧めです。
申し込みは随時行われていますが、審査期間があるため、利用する場合は早めに申請したほうがいいでしょう。
●「国の教育ローン」 実施機関:日本政策金融公庫(国民生活事業)
世帯年収に上限がありますが、固定金利で子ども1人につき最大350万円までご利用できます。
返済期間は18年以内で、大学在学中は利息のみを支払い、卒業後に元金と利息の合計を返済することも可能です。
実施機関 | 日本政策金融公庫 (国民生活事業) |
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融資限度額 | 学生1人につき350万円(一定の要件に該当する場合は上限450 万円) |
金利※1 | 2.35%※1 |
主な資格要件 | 子ども2人の場合、世帯年収890万円(所得690万円)以内 (扶養している子どもの人数により変わります。) |
最長返済期間 | 18年以内 |
※1「交通遺児家庭」、「母子家庭」、「父子家庭」、「世帯年収200万円(所得132万円)以内の方」または「子ども3人以上
(注)の世帯かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内の方」は年1.95%。
(注)お申込みいただく方の世帯で扶養しているお子さまの人数をいいます。年齢、就学の有無を問いません。