入学者の1割は、「総合型選抜」で合格している。個人と大学との関係が重視され、大学の出願条件にさえ合えば自由に出願できるのが総合型選抜の特徴だ。さらに、アドミッション・オフィス(総合型選抜事務局)による「面接」(面談)が実施される。
総合型選抜は、「エントリー・総合型選抜登録」(6〜9月)→「願書受付開始」(9月以降)→「予備面接」(9〜10月)→「内定・最終出願」(11月上旬)→「合格発表」(11月中旬以降)—の流れで行われている。1〜2回の予備面接やインタビューを行うのが、総合型選抜のメインになりつつある。
エントリー(総合型選抜への登録)や面談の多くは、大学が主催する説明会などで行われる。また、志望理由書は「エントリーシート」に書き込んで提出。特に、理由書は重視される。
書類審査における学業成績は、推薦入試より緩やかになっている。私立難関大でも、「学習成績の状況」の基準を3.8以上としているが、実態は各大学によってバラバラである。また、「学力検査」を加える大学もあり、基礎学力の対策も必要になる。
各大学は事前にアドミッション・ポリシーとして、大学側の「期待する(求める)学生像」を提示している。したがって、この像に合致していなければ、合格するのは難しいことになる。
「面接」の対策については、後述する。
▶出願前に1〜2回の予備面接やインタビューを行う大学もある
▶面接では、大学の担当官に自分の良さをプレゼンし、アピールする
「志望理由書」は、総合型選抜・学校推薦型選抜において欠かせないシート。専用用紙を付けている大学が多い。横書きのノート形式もあれば、原稿用紙形式もある。
進路に関しては、将来のキャリアプランまで考えて書く。
また、「志望理由書」は面接の貴重な資料となるから、下書きをしたうえでまとめるようにしたい。そして、それをコピーして、後で確認できるようにする。さらに面接日が近づいてきたら、コピーを基に自分自身で想定質問を用意し、問答の練習をするとよい。
「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」のそれぞれの特徴と導入経過などを考えると、そこには「なるほど」「もっとも」の気持ちがわいてくる。「総合型選抜」「学校推薦型選抜」という2つの入試方式がグンと身近なもの、温かいものとなって、受験生に勇気を与えることになるだろう。
今では複数回受験できる大学も増えたが、大学入試と言えば、一発勝負の「一般選抜」が昔から当たり前とされてきた。コンディションなどを考慮しない厳しい試験であるため、本格的に「多面的な評価」が検討されはじめている。
受験生は、高校で3年間も真面目に学んできている、一発勝負ではなくて、その努力も評価すべき―という視点で導入されたのが「学校推薦型選抜」。そして、学校推薦型選抜は、各々が通う高校によって推薦された生徒の中から選抜される入試方法である。
学業成績や出欠・部活動の状況など、高校生活のすべてにわたって、個人ごとに記録しているのが「調査書」であり、その作成には担任、校長など多くの視点、作業が関わっている。
そこからは、受験生の成績や人間としての総合力などが見えてくる。
推薦入試の後で導入されたのが、総合型選抜(旧AO入試)。
AOはアドミッションオフィス(Admissions Office=「入試事務局」の意)の略で、大学のアドミッションポリシー(教育理念等に照らした大学が求める学生像)と相性の合う学生を選抜する意味合いがあった。
そもそも人間の度量・資質・適性などが、学力試験だけではかれるのだろうか―という疑問点からスタートしている。それに応える新たな入試として登場したのが総合型選抜。受験生の個性や高校生活・志望理由などを問い、人物像をより重視した入試方法となっている。